プロジェクト

児童、青少年のためのコンサート

美しい調べとお話で旅する童話の世界

日本・スイス国交樹立150周年を記念して2014年にスタートした、子供たち(幼稚園児、小学 校低学年児童)の為のコンサートシリーズ “美しい調べとお話で旅する童話の世界” では
パシフ ィック・カルテット・ウィーン(以下PQV)が子供たちを、様々な国に伝わる童話や昔話の世界へと音楽の旅に案内します。メンバーの出身地のおとぎ話は画像や朗読に加え、臨場感を与える場面ごとの美しい弦楽四重奏曲で表現されます。土地ゆかりの作曲家により書き下ろされた童話音楽の世界が繰り広げられ語り手が地域の文化や人人の英知を伝えます。
PQVから次世代を担う子供たちへの贈りものです。

2014年度は日本の童話 “いっすんぼうし” の作曲を相澤洋正が担当。ドイツ語で親しまれている絵本を使用、日本語とイタリア語、ドイツ語の各言語での公演を日本・スイス両国で行いました。2015年度にはチューリッヒ芸術大学「子供のための作曲科」で学ぶ生徒(9歳から
15歳の10数名)がアンドレアス・ニック教授のもと共同創作した、スイス・レトロマンス語圏に古くから伝わる英雄伝 “トレデシン” の公演を同様に行います。
また2016年度以降のハンガリー、台湾の童話の公演の計画が進んでいます。

国際文化交流プロジェクト

異なる文化の対話

多国籍の団員で構成されるPQVは、異なる文化の対比を主題とした内容のプログラムでコンサートを行っています。個々の出身国の現代作曲家の作品を取り入れ、演劇や文学といった別の分野の芸術と組み合わせることにより、背景にある文化や思想への深い理解を促す取り組みです。また東西の楽曲を一つのコンサートで演奏することにより、対立する考えや共通のテーマを体感しつつ見つけ出す試みでもあります。2016年にはデールングス(チェンバリスト /1943-、スイス)の新作と黛敏郎(1929-1997)の “弦楽四重奏のための前奏曲” をウィーンを代表する、ハイドン(1732-1809)やウェーベルン(1883-1945)の作品とともにヨーロッパ各地、また日本で演奏することになっています。これらのコンサートでは人間が自然から受ける時間的心象が東西の作曲家では違いがあることを追求します。

台湾の伝統楽器と弦楽四重奏の共演

2015年4月、PQVはウィーン国立音楽大学と台湾国立芸術文化財団に招聘され、弦楽四重奏と台湾の民族伝統楽器である琵琶、竹笛、二胡が共演する “ニュー・ピパ・プロジェクト” をウィーン市と台湾でそれぞれ3公演行いました。3人のベテラン作曲家と18人の若い作曲家の手により東西の楽器が響きを一つとする多くの新作が世界初演され、ウィーン公演の模様はインターネットを通して全世界同時中継されました。

ウィーン~四国文化交流

2011年から“ウィーン~四国クラシック音楽交流の会”の招きでPQVは定期的に日本を訪れています。優れた音響を持つ音楽ホールでの本格的なコンサートの傍ら、小中学校、病院、施設を訪れ、PQVの拠点であるウィーンをはじめヨーロッパの国々の文化を紹介する活動を行っています。学校訪問コンサート“音楽で旅するヨーロッパ” はトークをおりまぜた交流コンサートです。音楽の授業等でなじみのある楽曲やモーツアルト、ベートーベン等の芸術作品を、彼らの肖像やヨーロッパの街並みなどを画像で紹介しながら演奏します。また弦楽四重奏曲へ編曲した唱歌や校歌を児童・生徒の皆さんと協演したり、ワークショップでは弦楽器の構造を学び演奏への手ほどきを行うなど回を重ねています。特に四国、香川県で自治体や県民の皆様からの温かい協力を得て設けられた多くの日墺交流の催しの様子をヨーロッパでのコンサート活動の折に伝えています。

その他のプロジェクト

スイス・ライナウ・マスタークラス

2014年にオープンしたスイス・ライナウ音楽島でPQVは毎秋マスタークラスを開講しています。ラインの滝にほど近い静かで美しい自然環境のなか、PQVによるアンサンブル、ソロ、オーケストラの為の集中授業が6日間にわたり行われます。受講者はPQVのオープニングコンサートを聴いたり受講者コンサートでマスタークラスの成果を発表することができるなど、プロ、アマチュア奏者を問わず上達を志す全ての音楽家に開かれた良い機会となっています。